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医師からのメッセージ

子どものうつ病に関して、北海道大学医学研究院児童思春期精神医学分野 特任教授 齊藤 卓弥 先生にお話しを
伺いました。

子どものうつ病にはどのような症状が認められるのでしょうか
子どものうつ病は、大人のうつ病に見られる症状に加えて、イライラや怒りっぽさが特有の症状として現れ、頭痛、
腹痛等の身体的症状の訴えが多いという特徴があります。
子どもは大人のように、気分の落ち込みや意欲の低下を訴えることは多くありません。
気分の落ち込みや意欲の低下といった症状の代わりに、「イライラする」、「怒りっぽくなる」、「学校に行けない」、「今まで毎朝普通に学校に通学していた子どもが、朝学校に行くのを渋るようになる」、「今まで親の言うことを聞いていた子どもが、親の言うことを聞かなくなる」、「反抗的になる」、「身体症状(頭痛、腹痛等)により、今まで普通にできていたことができなくなる」などの状態が表に現れます。こうした状態は、うつ病のサインである可能性があります。
子どものうつ病は、どうして気づきにくいと言われているのでしょうか
子どものうつ病は、表に現れる症状が大人のうつ病と異なることがあるため、うつ病と特定しにくいことがあります。大人のうつ病は、元気がなくなったり、物事へのやる気がなくなったりと、うつ病になる前と比べて行動が低下することが多いのですが、子どものうつ病は、イライラしたり、怒りっぽくなったりと行動で表現することが多いのが特徴です。
模範的ないい子が、親に反抗するようになったり、学校でトラブルを起こしたりした場合、うつ病のサインを出している可能性があります。こうした状態が、うつ病が原因であると専門家から言われて初めて気づくこともあり、親は自分の子どもがうつ病を患っていると気づいていない場合も多くみられます。
子どものうつ病に気づいてあげられるのは、最も身近にいる家族だと思いますが、子どものうつ病に気付くためには、どのようなことに注意したら良いでしょうか
確かに子どものうつ病に気づいてあげられるのは、最も身近にいる家族です。しかし、身近にいるからこそ子どものうつ病に気づかないこともあります。大人のうつ病では、不眠が特徴の一つですが、子どものうつ病では過眠となる場合もありますし、食欲も減ることもあれば逆に増えることもあります。
また、思春期のうつ病は食欲は変わらず、家で怠けているように見えてしまうことがあり、子どもがうつ病のサインを出していても、うつ病と気づくことが難しい場合が多いと思います。
子どもが普段の様子と違うと感じたときは、「怠けている」、「反抗期」などと決めつけたり、常識にとらわれたりせずに、そうした状態が子どものうつ病のサインである可能性もあることを知ることが大切です。
医療機関を受診することに迷った場合はどうすればよいでしょうか
「何日も学校にいかなくなった」、「死について考えたりする」といったことがあれば、早く医療機関を受診して、医師に相談することが大切です。
医師への相談を迷われる場合は、スクールカウンセラーなど相談にのって頂ける方もいます。スクールカウンセラーから、医師に相談する必要があるかの助言を頂くこともできると思います。
子どものうつ病に気づいたら
うつ病は早期発見、早期治療を行うことが大切です。うつ病は再発を繰り返して長引くこともありますので、最初にきちんと治療をすることが、うつ病の再発を予防するためにも大切です。子どものうつ病のサインに気づいて、適切な治療を子どもの時期に受けることは、大人になってうつ病で苦しむことを減らすことにもつながるかもしれません。
うつ病に苦しむ子どもたちのために
思春期になると、うつ病にかかる確率は大人とほぼ同じと報告されています。子どものうつ病は稀な疾患ではありません。これまであまり認知されていなかったために、うつ病と気づかれないまま放置されていたケースも多くあります。
子どものうつ病に対する薬物療法と精神療法は、残念ながら、日本ではいずれも臨床試験において有効性・安全性が確立されていません。
うつ病に悩むのは大人だけではありません。うつ病に苦しむ子どもたちのために、臨床試験において有効性・安全性が確立した治療が選択できるようになることが必要です。

※文中に記載されている症状に当てはまる場合でもうつ病とは限りません。
気になる症状が続く場合は、医師にご相談ください。