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お子さまの様子に悩んでいませんか?お子さまの様子に悩んでいませんか?

子どものうつ病は、大人の場合とは異なり、大人のうつ病の典型例と異なる場合が多くみられます。症状や行動がさまざまであるため、大人と比較するとうつ病にかかっていること自体がわかりにくく、周りに気づかれないことが多いのです。子どもを育てる立場に立つと、どんな時に子どものうつ病が疑われるのか、親や保護者の視点からまとめてみました。

お子さまの様子に悩んだり考え込んでしまうことはありませんか?
たとえば、次のようなケースに心当たりはないでしょうか。

Case.1

落ち込んで何か悩みがある様子ですが、そっとしておいていいのでしょうか

最近、子どもの気分が落ち込んでいる様子で、学校にも行きたがらないし、自分の部屋に引きこもりがちです。「大丈夫なの?」と聞くと「大丈夫」と答えてくれます。何か悩みがあるのではないか気になっているのですが、このままそっとしておけばよいものなのでしょうか。

落ち込んで何か悩みがある様子ですが、そっとしておいていいのでしょうか

人間関係や日常の様々な出来事、たとえば、両親の不和、いじめ、虐待などのストレスの強い出来事が抑うつ気分をもたらすことは自然なことですが、その抑うつ気分があまりにも長く続いたり、引きこもっている時間が続いて正常な日常生活を送ることができないようなとき、あるいはとくに原因が思い当たらないのに、子どもの様子がいつもと違っているようであれば、うつ病にかかっているかもしれません。

子どもは言葉での表現が苦手で、自分の気持ちを的確に伝えることができないことが多いため、気分が落ち込む、憂うつだといった気持ちをうまく説明できません。「大丈夫?」という閉じられた問いかけには親が安心するために「大丈夫」と答えさせてしまう響きがあるかもしれません。保護者としては「なまけている」ようにとらえてしまい、なんとか学校へ行かせようとしがちですが、こうした状態が長く続くときは、うつ病の可能性を疑ってみる必要があるかもしれません。

Case.2

友達との遊び、夢中になっていたゲーム、テレビなどが楽しめず、体調もよくなさそうです

最近、仲がよかった友達とも遊ばなくなってしまったし、夢中になっていたゲームを楽しんだり、テレビを見ることもなくなってしまいました。以前は楽しそうにしていたことにも楽しさが感じられなくなってしまったようです。とくに悪いところはないはずなのに、からだの調子もあまりよくないみたいです。

友達との遊び、夢中になっていたゲーム、テレビなどが楽しめず、体調もよくなさそうです

うつ病になるといろいろなことに対する興味を失うことが多いものです。「楽しいと思えることが何もない、何もやる気がしない、億劫、面倒だ、友達に会ってもつまらないから会いたいと思わない」、こうしたことから、学校での成績や態度、友人関係、家族との関係がうまくいかなくなるといった問題にもつながってきます。子どものうつ病では、成長段階によって異なった症状を示すことがあり、保護者としては、いつものその子らしい行動や様子とは明らかに違うと感じられる変化に気づいてあげることが大切です。

Case.3

いろいろな不調を訴えるのですが、ただ怠けているように見えます

頭が痛い、お腹が痛いと言って起きてこなかったり、学校を休もうとしたりすることが多くなりました。いろいろな症状を訴えるものの、そのときどきで訴える症状が違っているので、ただ怠けたいだけなのではないかという気がするのですが。

いろいろな不調を訴えるのですが、ただ怠けているように見えます

発達段階にある低年齢の子どもは、憂うつそうな表情はみせても、抑うつ症状よりも、体の症状を訴えることが多いといわれています。その多くは自律神経系の症状で、寝付けない、夜中に目が覚める、早朝に目が覚める、日中の眠気が強い、ぐっすり眠れた気がしない、めまい、立ちくらみ、朝起きられない、体がだるい、体が重い、朝は気分が悪いが夕方からは改善する、動悸、食欲低下または亢進、体重減少または増加、肩こり、頭痛、腹痛または腹部不快感などとして訴えられることがあります。ときに、不眠と過眠、食欲低下と食欲亢進という正反対の症状がみられることにも注意する必要があります。一方、思春期では幻聴などの症状がみられたり、自殺念慮(自殺したいという気持ち)が多くなってくると言われています。子どものうつ病は、典型的な症状を示すことがあまりなく、その存在に気づきにくいのですが、たいていは何らかのサインがみられるものです。なにかサインはないかな、と日頃から気を配っておくことが大切です(図)。

頭が痛い 食欲低下 暴力
お腹が痛い やる気がなくなる イライラ
睡眠不足 ひきこもる 悲観的
子どものうつ病を疑うサイン
Case.4

イライラしていて怒りっぽいのは、反抗期?

最近いつもイライラしているようで、怒りっぽく、反抗的な態度が目立つようになりました。いわゆる「反抗期」なのかもしれませんが、それにしては感情の表わし方が少し極端すぎるような気がします。注意や集中力も欠けていて、落ち着きがないように見えるので、むしろADHD(注意欠如・多動症)ではないかと思っています。

イライラしていて怒りっぽいのは、反抗期?

大人のうつ病では、抑うつ気分が主な症状として認められますが、子どものうつ病では、イライラした気分や不機嫌な態度、怒りっぽさ、落ち着きのない様子などが前面に現れることがあります。不安、焦燥感が強く、些細なことが気になり、じっとしていられないということも少なくありません。このような場合、注意力や集中力に欠け、多動で落ち着きがないことから、ADHDと混同されてしまうことがあります。

しかし、ADHDや自閉症などの発達障害が、二次的にうつ病を合併するということも多く、その場合、症状はさまざまな特徴を示します。ADHDとうつ病の大きな違いは、ADHDは早期に発症し慢性的に持続するのに対し、うつ病は抑うつ状態が解消されれば、これらの症状は消えてしまうという点にあります。

Case.5

うつ病に治療は必要でしょうか

うつ病はある期間が経過すれば、必ず治るという話を聞いたことがあるのですが、必ず治るなら治療は必要ないのではないかもと思うのですが。

うつ病に治療は必要でしょうか

うつ病の期間は3か月~8か月くらいとされていますが、一回の発症で終わることは少なく、再発したり慢性化したりすることが多いのです。最初のうつ状態が重症だったり、自殺を試みたりしたような場合、とくに慢性化しやすいことが分かっています。思春期のうつ病では約20%が2年以上持続するという研究結果もあります。8~13歳の子どもの経過研究では、再発のリスクは2年以内で40%、5年以内で72%といわれています。また早期発症のうつ病が双極性障害(躁うつ病)に移行するケースは10~20%とされており、小児期や思春期のうつ病は、将来的に後遺障害、パーソナリティ障害、アルコール、たばこ、薬物乱用、自殺行動のリスクが高まるといわれています。1)

また子どもの場合、うつ病自体からは回復したように見えてもその期間に周囲が学習したこと体験したことに追いつくまで時間がかかることが多く、そのような追いつかなければならないという負担を減らすためにうつ病の期間を短くすること自体が重要です。

うつ病は、子どもの状態に応じた適切な治療を受けることが大切です。

Case.6

子どもがうつ病になることはあるのでしょうか

子どもがうつ病にかかることはあまりないと聞いていましたが、本当にそれほどよくみられるものなのでしょうか。実際、インターネットや雑誌の情報を参考に、本人に心当たりはないかと聴いてみるのですが、そんなことはないと言って認めようとしません。子どものいうことを信じていいのかどうか悩んでしまいます。

子どもがうつ病になることはあるのでしょうか

確かに以前は、児童思春期には成人と同様のうつ病にはかからないと考えられていましたが、近年、子どもにも大人の診断基準を満たすうつ病が存在することが明らかになり、子どものうつ病が注目されてきています。うつ病は12歳未満の児童期では0.5~2.5%、12歳から17歳の思春期では2.0~8.0%がかかると言われています。2)思春期のほうがかかりやすいのですが、思春期の子どもは自分がうつであることを話したがらないし、それを認めないこともあります。診断する医師の側でも「まずその存在に気付くことが大切」という立場で診療にあたっています。

※ここで紹介した事例は、お子さまの状態への気づきのきっかけであり、医師による診断を代用するものではありません。何か思い当たることがありましたら、まずはスクールカウンセラーにご相談したり、専門の医療機関を受診してみることをお勧めします。